岡本眞ブログ
2011.06.06
安全から企業の元気を起こす戦略
今回の大災害は、我々に今まで安易に続けられてきた全てのものごとについての基本的な反省を強いています。万物の長者であるかのように、人間はあまりに傲慢で不遜な行いを繰り返し、自然を見下してきた結果、ここにきて人間が作った科学つまり原子力の脅威に何も防御できないでいます。一刻の猶予もできない差し迫った危機の前に、もはやお手上げの状態です。
さて私たち企業における安全活動や衛生健康面での取り組みもマンネリ化や形骸化が指摘され、必ずしも意欲をもって行われてはいないのではないか。
労働災害が発生すれば働く本人だけでなく、家族に暗い影を落とします。そればかりでなく企業にとって大きな損失です。人の命をお金に換算するわけはいきませんが、例えば40歳の働き盛りの男性が業務上の事故で死亡したとしましょう。
この場合、少なく見積もっても企業の賠償額は1億7,300万円以上を覚悟しなければなりません(例;年収700万円、死亡当時の遺族2人)。ただしこれは国の労働者災害補償保険で決められたもので、この他企業の安全や衛生面での配慮に欠けていたり、管理のしかたに法令上のも問題があったりすると民事上の損害賠償が上乗せされることになり、企業にとっては大きな経済的損失を生じます。
ケガをしない、させない。病気にならない、させない。そういう皆が安心して働ける職場を実現するための風土づくりが今、改めて真剣に問われているのではないでしょうか。
災害や事故には必ず原因があります。従って就業の場所、施設、器具など職場環境と労働者の業務のさせ方、管理の方法など就業のあり方を見直したり、改善を行うことが重要です。
つい先日、大阪労働局が平成22年に実施した定期監督の概要を発表しました。それによると法違反として多いのが、安全衛生管理体制を講じていない事例です。常時50人以上の規模となった企業でありながら安全や衛生管理者を選任してなかったり、委員会を設けていないことです。
また機械・設備など危険防止措置に関する安全基準に係る違反や健康診断の未実施などがワースト3に指摘されています。
事故や災害は起こってしまってからでは遅いのです。現在は安全や衛生活動に意欲のある企業が評価される時代です。製品やサービスの品質とそこで働く従業員の安全は一体のものであり、ともに企業のマネジメントのレベルを示すものとして重要な指標です。
当社ではケガや病気をしない・させない! ”安全衛生活動から企業の元気を呼び起こす戦略”の立て方 というセミナーを開いていただくように個別企業様に働き掛けています。
先ずは”安全・衛生”という自らの身近で、大事なテーマを手始めに安全衛生活動に、取り組んでよう提案、指導をさせていただいています。自らの安全や健康面での取り組みは、職場内の協力関係と良好なコミュニケーションを活かすとともに自分たちの手で問題を解決していく醍醐味を知っていただく効果も大きいものです。
人を大事にする組織、安全はトップの責任です。大事な従業員にも、また地域社会にも会社の思いをはっきりと見える化していくことは、安全から元気を起こす戦略として企業のイメージ向上もPRできます。
◆セミナー内容(カリキュラム)
1.今、なぜ安全・衛生(健康)が最重要な経営課題なのか
・人を大事にする組織、安全はトップ
の責任。安全から元気を起こす戦略
・社員の元気・企業の元気イメージ
・安全への配慮、損害賠償義務とは
・活動が活性化しない原因
2.周辺のリスクを点検し現状を把握する方法
・作業改善.安全チェックリスト.ヒヤリ
ハット票.5Sチェックシートなど
ハザード発見のツール
3.危険予知やそのリスクを防止する対策のしかた
・安全衛生方針と周知のしかた
・活動の組織、運営のしかた
・重点目標.課題の設け
・実施手順
4.確実に進めるための歯止めのしかた
・ルール化は?、
・マニュアルは?
・ミーティングの手引きは?
5.効果の検証
・日常の点検
・職場の巡視と評価報告
・監査のしかた
・見直し事項の検討
6.安全衛生活動を職場に定着させるフォローのしかた