岡本眞ブログ
2011.04.19
ひとつの老後準備
最近、一人暮らしの年寄りがガラクタやゴミ同然の物の山に埋もれ、足の踏み場のない中で暮らしている方が実に多いことを目のあたりにしています。老後の寂しさをモノと一緒にある数々の想い出に囲まれ、整理し、片づけをしたくても躊躇することが多く次第に気力も体力もなくなっていくのかもしれません。
年寄りに限らず私達は皆いろいろな捉われや雑念の中で日々の営みをしているわけですね。人からよく思われたい、がめつい奴と思われたくない、汚い奴だと陰口をたたかれたくない・・、こういう我執に翻弄されるのが悲しき人間の性かもです。
拘りを断つ、執着を捨てる、欲望や煩悩への捉われを無くす、そんな悟りにはなかなか達するものではありませんしそもそも人生、仙人みたいな生活なんて面白くもなんともないですね。思い立ったら吉日、僕は自分の年齢を顧みず結構、好きなことをしてきた部類だと思っています。
つい先日、何気なく本屋さんの平積みコーナーを覗いていたところ「老前整理(坂岡洋子著)」という本が目につきました。表紙の帯に気力・体力あるうちに、「使う!」だけを厳選しませんか?というフレーズに引き付けられたのです。
あふれるモノを片付けて、人生をもっと豊かにする方法。捨てれば心も暮らしも軽くなる。
とも小さな文字で載っていました。
私達は年齢を重ねるたびに多くのモノやデーター・本などなどがいっぱいに溜まってきます。人間関係も仕事上を含めるとどんどん広がっていきます。約束事も多くなります。
浮世の義理みたいなものを数えるとかなりストレスの原因ともなることが多いですね。
お金だけは一向に溜まりませんが、溜まる一方のモノをみるとかなりのお金をつぎ込んだことが思い知らされます。費やした時間はもう取り返せはしませんがその証である写真やビデオ、楽しかった旅先でのしおりやお土産類などが雑然と部屋のあちこちに積まれていたりします。
どこかの人生の節目で片付けないと徳川家康の家訓と言われる「人生は重き荷を背負って歩くが如し」のように文字通り重労働となってどうしようもないことにもなりかねません。
重き背負いの荷を捨てると急に肩腰の負担が減り、またこれからの新たな旅に向かって足取りが軽くなるというものでしょう。
坂岡さんはモノの整理と一緒に頭と心を整理することだとおっしゃっています。本当に老いぼれてしまう老前にモノだけでなく、長年に培われた人間関係やお金、時間、パートナーの問題も含めて、棚卸しをしてすっきり整理することを勧められています。
たしかに今をよりよく生きるため、これからの自分自身のためにもモノの要不要をこの際しっかりと判断して自分の生活を整理整頓して老後の準備をしていかなければならないもと強く感じ入りました。