岡本眞ブログ

2008.02.24

労働CSRという名の情報公表”先駆け事情”

私は「黄信号で止まります!」
 車を運転される方は、「私は制限速度を守ります。お急ぎの方は、どうぞお先に!」というトラックや乗用車のワッペン標識を見たことがありますよね。僕も何度か、先に行く車の後ろにこのようなメッセージを載せ、運転手名まで記して走る車の後ろを、追い越しのチャンスを伺いながらイライラして運転したことがあります。ところが最近、「黄信号でとまります!」と宣言する車が見られるということでびっくりです。(幸い、イラチな僕はまだお目にかかったことがありませんが。)
 もちろん自分の安全運転を前もって宣言しておき、事故のないように心がける方なんでしょうが。ところが会社の経営方針でこれらの措置が行われるようですね。多分、自発的な努力を対外的に宣伝することで、差別化を明確にし、企業のイメージを高める、経営戦略上の考えからでしょうね。

 最近、労務関係分野にてもコンプライアンス(法令順守)やコーポレート・ガバナンス(企業統治)という、担わなければならない行動規範に加えて、先ほどのような企業が独自に法の遵守を超えて、いわばプラスアルファの提示目標を宣言し企業イメージを上げ、消極的な企業との差別化を図り市場での地位を有利にしようとの意図が見えます。労働CSR(企業の社会的責任)の名のもとに、「わが社は、こんなポジィティブ・アクションを設け、活動しています」といった取組みを政府も奨励していますね。皆さんもここんところの新しい労働法制の中で、これらの動きは承知でしょう(均等法・育児介護休業法・高年法など)。

こんな素晴らしい施策をとっています!
わが社は、
こんなにすばらしい施策をとっています。
・ 情報管理を徹底しています。
・ 安全配慮に余念がありません。
・ 個人の能力を生かしたキャリア開発を進めます。
・ 安心して育児に専念できます。
・ 女性課長の比率を男女半々にします。
といった先取り施策を内外に宣言する労働CSRの動きが活発になっていると聞きます。
優良企業である証を、あらゆる情報公開の手段を使って公表しているのです。しかも皆さんご承知のISO(国際標準化機構)26000シリーズなる、労働における標準づくり作業が2008年の採択をめざしているそうですよ。
労働不祥事の前に 労基法・安衛法の徹底を

 ISOの認証制度となれば、認証企業と未認証企業との差別化が、労働の分野でも今後、はっきりと目立つようになり、企業イメージの良否、ひいては募集・採用戦線、取引関係、不買運動などに少なからず影響が出てくるように思われます。取り越し苦労や行過ぎた(?)神経を使うことはないと思いますが、とかくブームに乗りやすい企業の横並び意識ですから。アッいう間に、浸透していったISO9000や14000の例をみると、日頃からの労働基準法や労働安全衛生法ぐらいの徹底はやっておいたほうがよさそうですね。