オフィス人事教育のふれあいブログ
2008.08.16
会社改造と活性化のフォローチャート 1、方向性を示す
メダリスト達の”雄たけび” その背後にあるもの
今年のお盆休暇は、北京オリンピックの試合中継にテレビの前で釘付けの方が多いでしょうね。二冠を達成した水泳の北島選手や同じく銅メダルの中村選手、柔道、体操、野球、女子サッカーなど連日、わが国選手の活躍を見るのが楽しみです。日本選手のインタビューを聞いていて思うことがありました。それはチャレンジする目標があればどんな逆境でも爛々と努力し自らの能力を心身の限界まで開発していったというメダリスト達の共通したコメントです。また応援してくれた人たちへの感謝の気持ちを皆、素直に表していたことにも非常に好感が持てました。自分を支えてくれた大勢の人たちの期待に応えたいとの素直な気持ちが、あのような素晴らしい記録へと導いたのでしょう。自己実現を超えたモチベーションであったればこその快挙ではないでしょうか。
世界の頂点に立った北島選手や今回、惜しくも3連覇達成を逃した”柔らちゃん”こと谷選手にしても、さらなる次の目標を自らに課して、いろいろな苦難を乗り越え、この北京を目指した、といいます。人は、それぞれ目標を見出さないと伸びない、というのは原則中の原則なんですね、やっぱり。(反対にスランプの時は目標を見失っていたときとも;北島選手の談)
私たちは、物心付いた幼年どきから親や学校の先生達から〇〇〇ように目標をもって頑張んなさい!と言われたものです。しかし自分なりに考えて目標を立ててみるのだが、長続きしない。いわゆる3日坊主なのだ。生来、気が多いせいか、すぐに飛びつくのだが、根気が続かないまま、齢だけを重ねてしまっている方も大勢いらっしゃいますよね。一方目標自体、自分に課しながら生活するのも何だか気が重いという人もいるでしょう。結果、人様に誇れるような目標の達成の充実感・満足感を心底から味わった体験はないのが正直なところ普通の感覚ではないでしょうか。
企業では、継続こそ最重要
個人の私生活面ならそんな過ごし方も許されるかもしれません。しかし会社という利益追求の組織であれば問題は別です。社会に求められる商品やサービスを提供して、その見返りに健全な利益を頂く。しかも継続的にその事業活動が地域や社会に受け入れられている。そんな会社が健全な姿です。利益を出さないような会社は、地域の雇用にも貢献できないし、税金も納められません。社員が満足する給与も払えないし、株主にも、きちんと配当金を出すこともできない。当たり前のことですが、長続きをする会社が一番尊いのです。
企業30年説、って言うじゃないですか。つまり会社の寿命ですね。30年も続けて企業が存続すれば立派なもので、大抵の会社はこの間に盛衰の浮き身に合い、続かないことをいうのです。離散倒産、合従連衡、雲集霧散、離合集散、吸収合併、合併買収(M&A)などなど企業は否応なく時代の変遷の大波に洗われています。
方向性を分かりやすく示す
よほどしっかりした先行きの見通しを持っていないと、黒い牙が虎視眈々タンと襲いかかろうと機会をねらっているのもこの厳しいビジネス競争の現実ですね。確かに先行きが簡単に読めるような時代ではありません。しかし不確実であっても従業員にわが社の進めべき方向性を示し、一つのビジョンを描き導くことは、経営トップやその参謀たる総務企画スタッフの責任ではないでしょうか。
★当社はこのような考え方で経営を行なっている
★当社は将来、このような姿になりたい
★そのため、この方針で事業を進める
という錦の旗(フラッグ)を高らかに掲げることが大変、重要なのです。
皆さんも言われてみれば、そのとおりと思いますよね。しかしそんな当たり前のこともろくにきちんと説明し言及できていないのが、現実に多く見受けます。管理監督者にはリーダーシップ発揮を求めるが、企業という法人格に対しても、もっと強力なリーダーシップの発揮を求めてもいいのではないでしょいうか。つまり旗手が率先、風を切って高らかに挙げる旗の内容を堂々と掲げることです。
将来ビジョンを描こう
経営の思いを言葉に、言葉を行動に、行動をはっきりと成果に結び付けていく会社が、成長します。その第一ステップが”思いを言葉にする”、という工程です。会社のマネジメントの最初の仕組みは、社員全員に「なるほど」と理解され納得される旗印を掲げることからがスタートです。経営理念といえば少々硬いが、従業員皆の気持ちが共有できかつお客様からも信頼が得られる会社の将来ビジョン、その具体的で斬新な絵を描く重要な作業といえます。このことによって従業員も安心して業務に専念でき、相互に啓発しあう環境が整えられていきます。結果として信用が形成され、会社のブランド価値が高まります。こんないいこと尽くめの話が、実際のところあまり実行されていないのには本当に残念です。
飛ぶ前に考えよう!
なぜでしょうか。その原因は簡単です。先ず社長自身が、見通しを描く重要性を認識していないのです。粉骨邁進、日々走りまわっての東奔西走の社長。販路開拓に、商談に、協力者との調整に、と超多忙の日々が続き、まさに動転流転の社長パターンが染み付いてしまっているのです。動く前にこの会社をどのような方向に導いていくのか、何を大事にし何をお客様にアピールしていくのか。そのために従業員は何を大切にし、どのように振る舞うのか。これらのベーシック・ポリシーを共有することの方がもっと大事なことです。
いわば動のマネジメントから静のマネジメントへ転換する勇気をもっていただきたいと思います。何もかにも自分ひとりが背負い込んでしまった、忙しい忙しいワンマン社長のいる会社ほど業績があまり芳しくない、といった会社が実際は少なくないのです。
やるせない話と思いませんか。こんな会社を不幸病に感染してしまった組織と言います。社長はストレスが増大し従業員もピリピリ萎縮し本来の伸び伸びした行いができない。皆が不幸菌に蝕まれているのです。
会社の強みは、現場の”考える習性”にある
不幸菌は恐ろしいもので、これに感染すると間違いなく組織全体が衰退していきます。従業員が知らないうちに考えることをしなくなっているからです。ワンマン社長のもとでは考えなくても良いからです。仕事はどんな業務でもとことん考えることから工夫や改善改革に発展していきます。その習性が現場の一人ひとりの脳の中にしっかりと引き継いでいっている会社が底力のある組織と思うのです。
基本レールの上で、走らせる
先ず経営のトップ自らが、できれば従業員の意見や知恵を反映させながら会社の方向性やビジョンを設定してみてください。人は、行く先を信用すれば安心して歩むものです。気持ちも付いてきます。間違いありません。自分の足で1歩ずつ考えさせる契機にもなります。
特に小さい会社では、全員が戦略スタッフでなければなりませんね。一人一人が7人の侍のように個性を発揮して戦わなければなりません。大企業のような余裕などありません。
河内男節のようにせっかく縁あってこの会社のステージにたった仲やない!みんなやんなはれ!世の中かわります、あんた会社を変えなはれ!知恵使いなはれ!汗流しなはれ!私はどんなことがあってもついていきますえ~。そんな台詞でみんな、ビビッドにどどどーと出ていきましょう。
とは言っても何から手をつけたら良いのか、分からないのが実状ですね。わが社の方向性を示すには、それなりの準備と分析する知恵が必要です。
過去・現在・未来のトレンドシートを使い、環境変化の要因を具体的に把握してみなければなりません。そして全員が、わが社の”明日の飯の種”として拡大が見込まれる事業分野を大真面目に、かつ情熱的に口角あい沫を飛ばして議論し、事業戦略を練っていきます。
お問い合わせ;http://www.officejinji.jp/
次回続きは、その具体論、年度計画と重点課題の設定について述べます。